4月1日は、多くの企業で事業新年度を迎える日です。会社員だと、初々しい新入社員や新しい配属先に着任した社員が挨拶に回ってきたりして、少しソワソワしてしまいますよね。個人事業主になり、そのような儀式とも縁がなくなり、直接的には通常の月初と変わりありませんが、知人や取引先の人事異動でざわつく時期ではあります。取引先のメイン担当者に異動があれば、契約書で契約期間は定められているとはいえ、その先についての不安も少しはあります。

フリーランスになったばかりの頃は、とにかく仕事を増やさねばとの思いで、目の前のチャンスはすべてつかむ気持ちでいました。しかし徐々に取引が増えてくると、取引先との契約の在り方は何が理想的なのかということについて、自分なりに考える必要性が生じます。というのも物理的に時間も体も限られており、その中でいかに高単価で安定的に収益を上げていくかという視点と、自分らしさの視点は、当たり前ですが事業の根本部分だからです。

在り方の理想は、人それぞれだと思います。
私の場合は、試行錯誤の末、今は1社で収入の5割を超える取引を得るよりも、小さくても取引先数を増やすことを意識しています。少数/大口取引と、多数/小口取引のメリット・デメリットについて整理してみると、こんな感じです。

【少数/大口取引の場合】

  • メリット
    – 業務に付随する進行管理やスケジュール管理、コミュニケーション、請求管理や事務がシンプル
    – 接点が多いため、取引先との信頼関係が作りやすい
  • デメリット
    – 契約終了時の影響が大きい
    – 拘束時間や業務比率が増し、依存しがちになる。
    ともすれば、発注者と雇用関係に近い関係性になり、「偽装フリーランス」の疑いも生じる

【多数/小口取引の場合】

  • メリット
    – 契約終了時の影響が少なく、依存しにくい。
    業務を受けるかどうかの判断の主体性が保ちやすい
    – 日常的には小取引でも、ときどき大取引が入ったり、別の仕事につながったりしやすい
  • デメリット
    – 付随業務量が増えるため、結果的に収入総額としては低くなりがち。
    特に会社ごとに使用ツールが異なる場合、さまざまなツールを使いわける必要が生じる
    – 収入に波が出やすい。2月と8月など、一般的な需要の波や景気の影響を受ける

続いて、私が多数/小口取引とすることで気に入っている点を、羅列してみます。

・休みが調整しやすい
 1社との取引に依存すると、自分の都合よりも相手の都合が100%となりがちです。
 契約があるので、今週は少し体調を整えるために休もう…といった判断はできません。
 毎月の基本契約が小さくても、3カ月に一度など、大きな仕事をご相談いただけることもあります。
 その場合、この月は仕事を頑張ろう、その翌月は1週間休もう、あの月は海外旅行に行こうなど。
 時間の使い方の柔軟性が増したように思います。

・余白がつくりやすい
 上記にも関係します。大口顧客で予定が埋まっていると、新規の相談が来た際に対応できません。
 よほど強い絆(縁故など)でない限り、新規顧客が開拓できないと失業リスクは高まります。

・いろいろなツールや手法がマスターできる
 業務の連絡をするチャットツールだけでも、複数種のアプリを使い分ける必要がありますし、
 GoogleドライブやMicrosoft、その他のソフトを必要に応じて覚える必要がありました。
 業務用ツールをいろいろ試す機会となるので私にとってはメリットですが、
 あまりデジタル系が得意でない人には苦痛かもしれません。

多数小口取引では、余裕のあるスケジュールが確保でき、新しいクライアントの開拓に時間を使えるようになる反面、収入が減ることもあるでしょう。ただし、時間をかけて信頼を築けば、単価アップや取引件数の増加が期待できます。また、クライアントから「こんなことはできませんか?」といったご提案をいただき、試してみたら意外と好きだったとか、自分には向いていたということもありえます。さらに、自分の個性や強みと向き合い、自分にしかできない独自の価値を生み出す意識も高まるように思います。

これからフリーランスとして活動しようとお考えの方は、独立前に一定の貯金をして金銭的な余裕を持つことをおすすめします。2~3年は生活ができる蓄えを用意しておければ、すぐに収入が得られなくても、焦らずに自分に向いた仕事が得られる可能性が高まります。