東京に春がやってきた
この数日、東京では暖かい日が続き、あちらこちらで桜が咲き始めています。明日には早くも「満開」宣言が出るのではないかとも言われています。桜の季節は短いので、積極的に外に出て楽しもうと思います。
原稿の締切が重なると、3日間くらい家にこもりきりで過ごすことがよくあります。先日、美容院でそんな話をしたところ、美容師さんに「カンヅメですね!」と言われて、驚いてしまいました。大御所の作家の先生方に使われる言葉を自分に言われるなんて、気恥ずかしい。と同時に、「カンヅメってこういうことか」と腑に落ちたのです。
会社員の頃は、毎朝8時過ぎに自宅を出て会社へ向かい、夜20時過ぎに帰宅するのが日常でした。フリーランス生活に変わった今も、仕事のリズムは大きくは変わらず、朝8時過ぎからPCに向かい、場合によっては20時近くまで作業をすることもあります。
よくある仕事のリズムはこうです。
<仕事①>8時~12時 → 昼休憩 →
<仕事②>14時~16時 → 買い出し →
<仕事③>17時~19時 → ときどき残業
・通勤がないため、外出する回数は如実に減っています。
・昼食は自由な時間に取ることができ、食後に睡魔に襲われる時には抗うことなく仮眠が取れます。外資系でもなければ、なかなか「眠いから仮眠を取ります」とはいきませんよね。15分くらいの仮眠でも頭がスッキリ。「あ~サイコーだな」と宙に向かってつぶやく瞬間です。そんなことで昼休憩を2時間くらい取ることもあります。
・買い出しが必要な時には、近所のスーパーに16時ごろまでに行きます。夜のラッシュに向けて品出しされたばかりの食品や、お買い得商品がきれいに陳列されていて、レジの行列もほとんどありません。
フリーランス生活と「サスティナビリティ」の重要性
これは失敗談ですが、開業後1年ほど経った頃、朝7時から夜22時まで、2カ月間ほぼ休みなく働き続けたことがありました。フリーランスは労働基準法の対象外で、自分のペースで好きなだけ仕事ができるのが魅力だと思っていたのです。さらに「仕事量=報酬」という関係があり、仕事が増えるのが単純に嬉しかったということもあります。結果的に、自分の力量を超えて仕事を増やし続けていました。あるとき「あれ? 空間に歪みがみえる」という眼の異変に気づき、そこで初めて自分が無理をしていることを痛感したのです。
視界が悪くなり、慌てて眼科を受診すると、「疲労が原因だね。目を酷使しすぎてない?」と白衣を着た高齢の医師から言われました。眼底検査などの結果は異常なく、不幸中の幸いでしたが、「長く仕事を続けるには体調管理が重要だ」と反省しました。そして会社員時代には煩わしく感じていた労働基準法にも、しっかりとした根拠があったのだと気づかされました。
フリーランスには有給休暇がありません。体調不良で仕事ができなくなると、生活費すら得られません。そのため、無理が必要な場面もありますが、それを常態化させないことが大切だと考えています。適度にリフレッシュし、多少の余白をもちながら、「持続可能な働き方」を実践することが重要です。
もちろん、フリーランスになりたいと思う動機は人それぞれなので、短期間でたくさん稼いで、早期リタイアを目指す人もいると思います。そういう人には、サスティナビリティは必要ないかもしれません。しかし、編集者やライターの仕事には、長く続けられる土壌があります。クライアントの信頼を裏切らないためにも、「締め切りを厳守すること」と同じくらい「体調を崩さないこと」も重要だと感じています。