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磨き上げられた「メディアリスト」は広報の宝

時間をかけないとできないこともある

広報よもやま話vol.3

シキノハナ主宰の木村理沙です。
普段、フリーランスの編集者・ライターのほかに、企業のPRのお仕事もしています。
スタートアップや起業する方が増えて、PRに力を入れたいと考えている人も多いのではないでしょうか。広報って、他社がどのようなことをやっているのか、意外と分からないものです。そこで、私が持っている広報に関するノウハウや知識をここではお伝えしたいと思います。普段の業務で、お役に立てることがあったら嬉しいです。

自社の特性を反映させた独自のメディアリストが広報に効く

立ち上がったばかりのスタートアップ企業や、これまで受託事業・BtoB事業を中心に提供してきた企業の中には、きっと、初めてPR活動を行う広報担当の方もいるかと思います。

プレスリリース原稿を作り、自社Webサイトに掲載したり、PR TIMESPRワイヤーといったの広報情報サイトで発信することは、多くの広報担当者がやっていると思います。表に見える活動なので、イメージがわきやすいところです。

それらはもちろん大事ですが、メディア取材を引き寄せるためには、それだけでは足りません。特に取り上げてもらいたい媒体、自社事業と親和性の高い業界紙誌などを自社の特性や事業に合わせて独自にまとめた「メディアリスト」こそ、重要な情報資産。広報担当者にとって活動の成否を握る肝となる、大切なものなのです。

◆メディアリストの作り方

それでは「メディアリスト」について具体的にみていきましょう。

掲載項目

リストに掲載していく項目は、最低でも次の項目が必要です。
・媒体名 ・会社名 ・部署名 ・担当者名 ・所在地(住所、郵便番号) ・電話番号、FAX番号 ・メールアドレス(受付フォーム) ・サイトURL 
これにプラスアルファして、「接点を持ちたい自社サービス」「接触日の履歴」などもあると使いやすくなります。

掲載基準

多いにこしたことはありませんが、個別にアプローチすることを想定して、まずは次のような基準でピックアップします。
取り上げてもらいたい媒体(大手マスコミ、影響力のある媒体など)
自社が所属する業界の媒体(業界紙誌や専門性の高いネットメディアなど)
・過去に取り上げてもらったなどあり、関係を続けたい媒体(名刺交換した記者など)

作成手順

ピックアップした媒体の情報を集めます。
例えば、大手マスコミでしたら、Webサイトで社名・住所・部署くらいまでは調べられます。
個別に担当者名が入れられればよいのですが、入れられない場合でも、雑誌類であれば「編集長名」は多くの場合は本誌奥付などに記載されていて、知ることができます。また、新聞の場合は実際に掲載されている記事で、親和性の高い業界の記事があったときに、記者の記名があることがあります。それを入れるのもよいと思います。
テレビやラジオの放送局の場合、番組単位でピックアップします。番組サイトに、プレスリリースの受付メールアドレスが紹介されていることもありますが、ない場合、電話で「プレスリリースを送付したい」という旨をきちんと伝えると、受付先を教えてもらえることがあります。

業界紙・専門誌のピックアップには、いまは発行を終了してしまった「マスコミ電話帳」(宣伝会議)や、「PR手帳」(日本パブリックリレーションズ協会)が参考になります。また、ネットメディアは、Web上にまとめ記事を書いている人もいますので、それらを参考に集めるのもいいですね。

過去に取り上げてもらった媒体や挨拶して得た名刺は、会社の名刺管理データで管理するのもよいのですが、いざというときにリストを見れば一目瞭然という状態にしておくと、案内をし忘れるということがなくなります。

●メンテナンス

プレスリリース作成がない時など、少し手が空いたときにメンテナンスしておくと、いざという時に使いやすいです。
テレビ番組やラジオ番組は基本的に1クール(3カ月ごと)で変わる可能性がありますので、改編後に速やかにチェックします。
雑誌や業界紙の編集長も、普段からメディアに接していれば編集長変更のお知らせはおのずと目に入るものですが、使う前には確認したほうが無難です。「ご担当者様」でも届かないわけではありませんが、受け手は大きく変わります。私が出版社にいた時は、「ご担当者様」宛のプレスリリースの確認は、一番新人の仕事でした。編集長宛にアプローチしたほうが、適材適所で差配してくださる可能性があり、掲載確率も高まるのではないかと思います。

広報の仕事って、意外と突然ふってくることがあります。新製品や新サービスのプレスリリースであれば計画的に進められますが、連携が漏れていたり、「よし!やってみよう」的なノリでプロモーションが始まることって、本当によくあることなのです。
その時に、普段からメンテナンスできているリストがあると、急な対応でもスムーズなプレスリリース発信が行えて、タイムリーな展開につながります。

新しいリリースがなくて、少し手が空くな…という時には、ぜひ、メディアリストを磨いておきましょう!

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