はんの木は、日本全国の山野の低地や湿地、沼に自生する落葉高木です。水辺を好み、荒れ地でも育ちます。水田を開墾する際の適地の目印として用いられたほか、葉には窒素が多く含んでおり肥料になることから、水田の周囲に植えられ肥料木として重宝されています。
10月ごろに松かさ状の果実がつき、熟したものは褐色(かちいろ)の染料に用いられます。褐色は、黒く見えるほどの藍色や茶色をいい、「かち」が「勝ち」に通じると、縁起をかついで武具の染め色や祝賀のときに用いられました。
いけばなでは、晩秋から冬気かけて用いられる花材です。