町で、にぎやかに飾られた熊手をもって歩いている人がいたら、酉の市帰りの人かもしれません。
酉の市は、江戸時代から続く年中行事の一つで、11月の酉の日を祭日として開運招福や商売繁盛を願うお祭りです。各地の大鳥神社や鷲神社など鳥にちなむ神社で開催されており、縁起物で飾った熊手を求める多くの人でにぎわうことでも有名です。熊手は、鷲の爪を模したともいわれており、鷲が獲物をわしづかみすることになぞらえて、そこには福徳をかき集めるという意味が込められています。
東京では、鷲神社(台東区)や大鷲神社(足立区)、花園神社(新宿区)、大國魂神社(府中市)などで盛大に開催されており、2022年は11月4日が一の酉、11月16日が二の酉でした。年によって、酉の日は2回の年と3回の年があります。2022年は3回の年にあたり、三の酉が11月28日(月)に催されます。
月曜日は仕事で行けないや…と思われる方もいるかもしれませんが、諦めるのはまだ早いです。例えば、新宿の花園神社では、前夜祭を27日(日)に行っています。
また、浅草の鷲神社では、午前0時から午後24時までの開催なので、通勤前後で楽しむこともできますよ!
ぜひ、お近くの神社で開催されていないか、見てみてください。
神社内外には多くの屋台が出て、さまざまなモチーフの熊手が売られています。筆者も、今年初めて、鷲神社で小さな熊手を購入してみました!
大入袋の小銭は、次に参詣した際にお賽銭で使うとよいそうです。もったいなくて使えない…
デザイン選定の決め手は、苔生す梅、招き猫、そして小判と米俵。自分好みのデザインを探して歩くのもまた、楽しい時間です。そして、お店の人と値段交渉をしたり(値切り分はご祝儀としてお渡しします)、目的によって、それに合った縁起物の種類なども教えてくれます。私は、事業を立ち上げるということでお神輿モチーフを勧められたのですが・・・。そこはごめんなさい、かわいいのが欲しかったのです。それで、人はたくさん集まるように…ということで「招き猫」に落ち着き、結果的に大満足。おそらく小さなサイズの熊手は対象外と思われた手締めも、おじさんが事業の成功を願ってしてくれました。そのお気持ちもただただ嬉しい!
また、酉の市で欠かすことのできない縁起物の一つ「切山椒」も購入しました。
切山椒は、上新粉に山椒の粉末や砂糖をまぜた短冊状の生菓子で、ほのかに山椒の香る素朴なお味です。厄払いの効能があるといわれ、「食べると風邪をひかなくなる」とも。山椒は、うなぎに振りかける香辛料というだけでなく、若葉は日本料理に欠かせない「木の芽」として馴染みのある植物です。花・果実・果皮・樹皮など、捨てる部分のない有益さが縁起物として用いられる由来になったともいわれています。
熊手をもった帰り道、最初は少し恥ずかしかったのですが、「今日は、おとりさまなのね」「かわいい熊手ね」と知らないマダムに声をかけられたりして、それもいい時間でした。