「花の王」と原産国の中国では呼ばれて、薬としても利用されてきた「牡丹(ぼたん)」。4月から5月に開花する春牡丹が一般的ですが、上野東照宮ぼたん苑(東京都台東区)では、2月23日まで「冬牡丹」が鑑賞できるので、先日、行ってきました。

 園内に入ると、まず、花の色や大きさの多彩さに驚かされます。約40品種が一堂に会するのは、関東でも最大級ということです。それぞれの名前にも風格があり、見ていて楽しいです。 

 もともと牡丹は鑑賞用に栽培される植物ですが、わらぼっち(霜囲い)の中に、春牡丹よりも一回り小さな花が2~3輪咲く、その凛として可憐な姿には、ただ花を観賞するというだけでなく、人と植物との営みを見るという意味でも格別の思いがします。庭園の職人さんによって手塩にかけて仕立てられているところは、まさに旧家のお嬢様(笑)。冬の厳しい寒さの中であっても、立派に花を咲かせるのは、周囲の手助けもあってこそ・・・などと、見る側の想像力をかき立てます。

 なお、お正月に飾る「葉ボタン」は、江戸時代、高価な牡丹の代用品として、形が似ていることから庶民の間で流行したものと伝えらえています。牡丹が普通に購入できるようになったのは、戦後、接ぎ木の技術の進展により、苗が出回るようになって流通量が増えたから。今では、多くの人が牡丹を楽しめるようになりましたが、お正月の葉ボタンもそれはそれで定着し、ないと寂しい感じがしますね。

葉ボタンも可愛らしく植わっていました。話のネタに困りませんね

 入場料はかかりますが、丁寧な手仕事のほか、牡丹以外にも、旬の植物や日本的な飾りなども楽しめますので、機会があれば、ぜひご覧ください。

黄色いロウバイは春の香り
紅梅も少し咲いていました

【上野東照宮 ぼたん苑】
所在地:東京都台東区上野公園9-88(上野動物園のとなり)
    JR上野駅 公園口より徒歩5分
開苑期間:2023年1月1日 から 2月23日 まで
開苑時間:午前9時30分~午後4時30分(入苑締切)
入苑料 :大人(中学生以上)1000円
     団体 (15名以上) 800円
     小学生以下無料