二十四節気の「大雪」が過ぎると、いよいよ東京でも雪が近くなってきました。この頃から都内の庭園でも、松の雪吊りの風景が見られるようになります。

 東京でも雪は降るの? そう思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、例えば、1月の「成人の日」の辺りでは、交通機関も麻痺するほどの降雪が珍しくありません。さらに2月ごろになると、水分を含んだずっしり重たい雪が降ることもあります。そのようなときの木への被害を最小限に食い止めるのが、この雪吊り。ワラ縄で枝をつって、雪の重みで枝が折れないようにしています。

 金沢の「兼六園」が有名ですが、都内の庭園でも身近に見ることができます。六義園(東京都文京区本駒込)の吹上の松はいつ見ても大迫力で、特に12月初旬には紅葉と一緒に鑑賞できます。

ライトアップされた吹上茶屋の松

 また、筆者のおすすめは同じ文京区内にある肥後細川庭園(東京都文京区目白台)です。

肥後細川庭園の松の雪吊り。一番上の写真も同様です

 こちらは文京区立の公園で、なんと入園無料で楽しめます。回遊式の庭園と季節の花が楽しめるだけでなく、運がよければ「肥後六花」のうち、肥後山茶花や肥後菊、肥後椿といった非常に珍しい植物も見ることができます。筆者が訪問した12月上旬には、建屋内に美しい肥後菊が展示されていました。また、盛りは過ぎたものの、肥後山茶花も楽しめましたよ。この肥後六花については、また別のところでご紹介したいと思います。

希少な肥後菊の展示
肥後山茶花

 余談ですが、筆者はこの公園が幼いころの遊び場で、笹船を作って浮かべたり、ザリガニ釣りをしたりして過ごしました。今はもう、そういった遊びも難しいのでしょうが、昭和の時代はどこも子どもには寛容だったなと、ありがたくも懐かしく思います。