広報よもやま話vol.4
シキノハナ主宰の木村理沙です。
普段、フリーランスの編集者・ライターのほかに、企業のPRのお仕事もしています。
スタートアップや起業する方が増えて、PRに力を入れたいと考えている人も多いのではないでしょうか。広報って、他社がどのようなことをやっているのか、意外と分からないものです。そこで、私が持っている広報に関するノウハウや知識をここではお伝えしたいと思います。普段の業務で、お役に立てることがあったら嬉しいです。
◆広報部と事業部の足並みがそろわない時
立ち上がったばかりのスタートアップ企業や、これまで受託事業・BtoB事業を中心に提供してきた企業の中には、きっと、初めてPR活動を行う広報担当の方もいるかと思います。
各商品・サービスを担当する事業部と、プレスリリースの発信やメディアの窓口となる広報部の連携が必要なのは言うまでもありませんが、スムーズにいくことばかりではありません。
例えば、広報部は社長など経営陣の指示に基づき活動します。一方で事業部は、多くの場合が事業部長の指示に基づき活動することになります。両者が同一人物でもない限り、考え方に少なからず違いが出てしまうのです。
例えば多くの場合、それぞれの言い分はこうです。
社長「とにかく会社をアピールしろ。商材は、その時チャンスがあるものなら何でもいい」
事業部長「うちにはうちの計画がある。勝手に動くな。どのメディアにどのように掲載するかは、こちらで判断する」
もちろん、社長直下の広報部は、事業部長のいうことを聞く必要はありません。
・・・と、強くいられればよいのですが、実際は事業部の協力なしに進めることは不安です。メディアの約束をとりつけてから協力を拒まれ「すみません。撮影協力の許可が出なくてNGになりました」なんて言えません。ましてやそれが、人気商材の事業部ならば、なおさらなんとかしたいですよね。
◆広報は会社のスポークスマンである
いうまでもなく、会社の意見や情報を発信するのが、広報の仕事です。
ひとりの人間としてイメージしてもらえれば、分かりやすいでしょうか。
仮に、発言や態度が二転三転したり、嘘とまでは言えなくても誤った情報を教えられたりしたら、あなたはその人を信用できなくなるでしょう。
メディアの人は、広報担当の意見は、会社を代表した意見だと受け止めます。
だから広報は、会社全体をみて、会社全体にとって最も良い判断を行う必要があるのです。
一方、事業部長はどうでしょうか。もちろん経営幹部となり、会社全体のことを考えてくれる人も中にはいるでしょう。しかし、多くの事業部長に課された責任は、事業部の業務の範疇です。
つまり、事業部という個別業務にとって、最も良い判断を行えばよいのです。
個別最適を優先すると、会社として本来は発信すべき広報の発言が、ちぐはぐになる可能性があります。それは、広報の情報発信としては欠陥になりえるのだと覚えておく必要があるでしょう。
個別最適を、全体最適よりも優先してはいけません。特に広報では。
そんな事業部長は、経営を担う資質に欠けています。速やかに社長に相談してください。