5月ごろから初夏にかけて、青や紫、ピンク色などの花(装飾花)をつけるアジサイですが、この時期、芽吹く枝を使って春の季節感を表現するいけばなが、小原流にはあります。
花材は、芽だしアジサイとミヤコワスレ、そして下草にヒカゲカズラを使用しました。
このとおり水盤に下草を使用するのも、小原流の独自なスタイルです。私は、この水際を表現するいけばなが、見るのも作るのも好きです。また、ミヤコワスレの日本的な濃い紫色と可憐なたたずまい、そして名前から漂う哀愁の余韻なども、別れと出会いの季節である春の季節にふさわしい花材と感じます。
今回は、アジサイの枝の曲がり具合に合わせて、直立型と傾斜型の2種類の作品をいけてみました。植物は、同じ種類であっても、二つとして同じ形がありません。曲がりの具合が大きい枝がきたら横に伸びる形を、まっすぐな枝がきたら上に伸びる形をいけわけるのも、植物との出会いを楽しむいけばなの楽しみの一つです。