可愛らしい花びらと上品な朱色が艶やかな木瓜(ボケ)は、バラ科ボケ属の落葉低木です。自由奔放に伸びる枝ぶりも魅力で、いけばなでは春と秋を中心に、ほぼ一年を通じて使います。
中央に配したのはゼンマイ。ゼンマイ科の多年生シダ植物で、美しい渦巻き状の新芽は、不思議な存在感があり、春の山菜としてもおなじみです。繁殖力が強く、群生していることから、いけばなで使用する際も、その雰囲気が出るように配置します。
向かって左には、椿(ツバキ)。よく似たサザンカが冬の花であるのに対して、椿は早春の花といわれます。また、花びらがバラバラに散っているのはサザンカ、丸ごと落ちているのが椿として見分けることができます。
黄色いピンポンギクは、ぽかぽか陽気の春の陽射しをイメージし、日本のうららかな春の訪れへの思いを表現。琳派絵画のような雰囲気をまとわせる、小原流の琳派調いけばな作品です。植物のフレッシュな生命力がいけ手にも伝わり、いけながら、元気になれる花材たちでした。春よ来い!