秋のお彼岸を境に、急激に涼しい空気に触れるようになりました。
「暑さ寒さも彼岸まで」という言葉の真実味に驚きます。

今回は、秋らしい鶏頭や菊をつかった水盤のいけばなです。

一番左側で、蛇のごとくうねっている植物は「石化エニシダ」。枝の曲がりは、自然のものなので一つひとつ異なります。いけばなを始めた最初の頃は、向きが決まらずに難しく感じるのですが、少し慣れてくると独特な形のわりに矯めがきくので、使っていて楽しい花材へと変わります。

そして吾亦紅(われもこう)。単品で見るとなんともいえない花材ですが、他の花に添えるように使うと、秋の野草の空気を連れてきてくれて、なんともかわいいドット柄。歳を重ねるごとに好きになる花材です。

秋の植物の色は素敵です。紅葉と一口にいっても赤もあれば黄もありますし、緑色からの変化の様子は、人の手では作り出せない自然からの恵みの色。さらにホトトギスやリンドウのような濃い青や白、実ものも赤や朱、緑や濃紺など多彩です。秋の植物との出会いが楽しみになります。