春になると、白くて小さなお花をたくさんつけて枝を枝垂れさせている雪柳を、公園などで見かけることがあります。華やかでありながら、とても可愛らしい植物ですね。まだ巷では見かけませんが、季節を先どるいけばなでは、花材として出てきました。作品では、枝をかなり整理してすっきりとさせることで、雪柳のもつ伸びやかな枝の線を見せています。

 そして、アイリス。別名は、アヤメ。アヤメ科アヤメ属です。引き締まった濃紺色が凛として印象的で、素敵です。つぼみの状態でもよいのですが、今回は、足元隠しや目線を上げるために、手を加えて花を開かせています。また、葉は躍動感のある動きを出すように、別に添えます。

 足元の茶色い葉は雁足です。オシダ科の植物で、クサソテツの別名があります。いけばなでは乾燥させたものを使いますが、生花の状態でも同様な黒い色の植物です。これはドライなので、先に水をスプレーで吹きかけるなどして少し柔らかくしておくと、開いたり曲げたりしやすくなります。

[花材]雪柳、アイリス、雁足